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Wish You Were Here / Pink Floyd 

ピンク・フロイド最大のヒット作「狂気」の次作がコレである。
しかし「あなたがここにいてほしい」という邦題が何とも面白い。
純粋な日本語としてはやっぱりおかしいが、それが「訳」だということを考えると
言語の交換不可能性みたいなものがうまく表現されているような気がする。

そもそも他国語同士をイコールで結ぶこと自体が不可能なのだから、
原題の雰囲気や意図といった曖昧なものを、曖昧なままで残しておく。
「意味」というはっきりとした形ではなく、「考え方」程度の何となくの内包。
この邦題がそんな意図をもってつけられたものだとしたら、それは大成功だと思う。

一聴するに、地味以外の何ものでもない内容である。
ボクがこのアルバムを買って、一度聞いてみて地味だと思ったところまでは良いが、
なぜ二度目を聞いてみようと思ったのか、その原因は自分でもわからない。
でも、その後は聞くたびにボクの中での評価が上がっていく。不思議な作品だ。

ボクはシド・バレットの声とギターが好きである。
もちろん、このアルバムに彼は登場しない(歌詞には彼を指す人物が登場するが)。
そして、残念なことにロジャー・ウォーターズの声があまり好きではない。
シドのプレイに溢れる魅力と比較されることは、ロジャーにとって大きな災難だったと思う。

しかし、ボクは本作を聞いて初めて、ロジャーの歌も良い、と感じた。
もちろん全曲についてそれが当てはまるというわけではないが、
声質の好き嫌いを越えた「歌自体の良さ」があることは否定できない。

タイトル曲である「あなたがここにいてほしい」。
ギターだけの静かなイントロから、彼の歌声が入ってきた瞬間。
恥ずかし過ぎる稚拙な表現で申し訳ないが、文字通り「ドキッ」としてしまう。

このアルバムにはそういう決定的な瞬間がいくつかある。
1曲目の「狂ったダイヤモンド第一部(!)」。
冗長なイントロ(インスト?)が終わり、やっとの思いで入ってくる歌の直後、
次のボーカル・フレーズまでの短い時間に笑い声のサンプリングが挿入される。
このタイミングが何とも絶妙で、やはり予想外に「ドキッ」とさせられるのだ。

「狂気」と比べれば全体として「地味」。
それは間違いないけれど、ディテールはさすがだなぁ、といった感じである。

「狂気」に至るまでの初期フロイドの作品(1stを除く)は、正直退屈だ。眠い。
ボクとしてはそんな作品群のことも決して嫌いではないが、別の次元でそれらに対し
「散漫」あるいは「緩慢」という印象を持っていることも確かなのである。

この点で言うと、本作はちょっと違う。
「狂気」で大成功を収めた後の倦怠感と、それに何とか抗しようとする力。
オアシスの「ビー・ヒア・ナウ」は前者に飲み込まれた問題作だったと言えるが、
アレンジの「冗長さ」といった面では、本作と似たり寄ったりなところがある。

ただ、フロイドの場合、始めからある意味「冗長」な作品を送り出していたわけで、
その最も洗練された形が「狂気」ではあるけれど、やっていることは元々同じ。
だからこそ彼らがオアシスのように自己崩壊することはなかった。

安易なゴージャスさには逃げず、地味であり、それでいて冗長。
噛めば噛むほど味が出る、まさにスルメのようなアルバムである。

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